10 / 07 (水)
11 / 08 (日)
ミヅマアートギャラリー 棚田康司展「愛をみる」
ミヅマアートギャラリー 棚田康司展「愛をみる」
- 美術館・博物館・アート展
境界線上に存在する彫刻
今年、棚田は彫刻と空間との関係をあらためて問い直すような発表を重ねています。5月にはKAAT神奈川芸術劇場にて三沢厚彦との二人展「彫刻される劇場」を開催し、光や音によって刻々と変化する劇場空間のなかで、彫刻の新たな見え方を提示しました。
また、現在開催中の「神戸六甲ミーツ・アート2026 beyond」では、安藤忠雄設計の「風の教会」を舞台に新作を発表。現実、中庸、神聖領域という三つの異なる層を建築空間に見出し、その「境界」に彫刻を配置することで、鑑賞者の視線を自身の内的世界へと導いています。
棚田はかねてより、自らの彫刻の理想的な在り方について「境界線上に存在していること」と語ってきました。それは単純に二つの世界を隔てる線ではなく、そのあいだに広がる、幅をもった領域です。生と死、現実と非現実、身体と霊魂、自己と他者――そのどちらか一方に属するのではなく、両者の間に立つ存在を、棚田は彫刻を通して見つめ続けています。
今回の個展「愛をみる」では、その眼差しがさらに人間の生そのものへと向けられます。
地上に立つ姿、絶対的な孤独のなかに立つ姿、霊魂として消えゆく姿――過酷な状況のなかで、それでも生きることを真摯に受け止めようとする存在を、ギャラリー空間に点在させます。
「人がそのような状況に立つとき、そこには何か絶対的な支えが必要なのではないか。僕にとって、それは『愛』というものなのかもしれない」
孤独や不安、別れや喪失を抱えながら、自らの生を引き受け、今を生きること。棚田は、作り手である自身が持つべきものとして「愛」を捉えると同時に、彫刻そのものが、言葉では語りきれない「愛」の存在を象徴することはできないかと問いかけます。
木から彫り出された像は、確かな重さをもって地上に立ちながら、いつか消えゆく存在の儚さを宿しています。その姿と向き合うとき、私たち自身もまた、生きること、誰かを思うこと、そして自らを支えているものへと意識を向けることになるでしょう。
彫刻という存在を通して、目には見えない「愛」を見つめる。その眼差しは、私たち自身の内面へと向かい、そこにあるものを静かに照らし出していくのかもしれません。
【開催概要】
会期:2026年10月7日(水)~11月8日(日)
開廊時間:12:00~19:00 ※アートウィーク東京開催期間中の11月4日(水)~8日(日)は、10:00より開廊
休廊日:日・月・祝
※11月8日(日)は開廊
