06 / 03 (水)
06 / 20 (土)
ミヅマアートギャラリー 烏丸由美展「Facing Histories」
ミヅマアートギャラリー 烏丸由美展「Facing Histories」
- 美術館・博物館・アート展
個人の記憶と社会の歴史が交差する「生きた問題」としての歴史の断片を問い直す
イタリア・ボローニャを拠点に活動する烏丸は、絵画やパフォーマンスを通して、個人的な感覚と社会的な記憶とを往還しながら、「祖国」や「歴史」といった主題に向き合ってきました。
本展のタイトル「Facing Histories」は、歴史と現在との関係をあらためて問い直す試みを示しています。ここでいう「歴史」とは、過去の出来事として完結したものではなく、現在においてもなお私たちに影響を及ぼし続ける、生きた問題として捉えられています。
本展では、江戸期の美術、戦争の記憶、そして古い写真に写る無名の人々の肖像といった複数の要素を手がかりに、異なる時間軸が交差する場が立ち上げられます。そこに浮かび上がるのは、連続的で進歩的な歴史観ではなく、忘却や断絶、歪みを内包した複数の「ヒストリーズ(歴史の断片)」です。
100年以上前の親戚の葬儀の集合写真や、統治下の朝鮮・桃花町に渡った家族の写真などをもとに描かれた和紙のドローイングには、歴史の中で名を残さなかった人々の姿が静かに現れます。彼らは過去の存在でありながら、確かに生きた存在として、現在を生きる私たちの前に静かに立ち現れます。
あわせて発表される「温故知新」シリーズでは、江戸時代の日本美術を基調とした作品が中心となり、一部にはヨーロッパ中世・ルネサンス美術という異なる文化的源流が交差しています。
イタリアでの生活を通して培われた視点のもと、東洋と西洋、過去と現在といった二項対立を越え、歴史の多層性が軽やかでありながらも緊張感を伴うかたちで表現されています。
烏丸の作品は、歴史を説明するものではなく、むしろ語られてこなかった視点に触れ、「見ること」「向き合うこと」の意味そのものを問い直す試みといえるでしょう。
過去を懐かしむのではなく、現在の問題として歴史を捉え直すこと。本展は、そのための思考と対話の場となることを目指します。世界各地で緊張や衝突が続くなか、鑑賞者が立ち止まり、歴史と現在の関係をあらためて見つめ直す契機となることを期待しています。
ぜひご覧ください。
【開催概要】
会期:2026年6月3日(水)~6月20日(土)
開廊時間:12:00 〜19:00
休廊日:日・月
