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2022
03 / 11 (金)

2022
04 / 11 (月)

映画『アンネ・フランクと旅する日記』公開 【現在は終了しています】

202203/11(金)~ 202204/11(月)

映画『アンネ・フランクと旅する日記』公開 【現在は終了しています】

現代によみがえった親友を語り部に、過去を行き来しながらめくる負の歴史。私たちは同じ過ちを繰り返していないか?そんな警鐘が胸に刺さる傑作アニメーション!

小学生の頃、母に「アンネの日記」をねだって買って貰ったが、半ばまで読んで止めてしまった(編集者注が膨大で当時の私には荷が重かった)。そして、あの日記が「親友」に宛てて書かれ、それが実際には存在しない「架空の親友」宛だったというのは、全く記憶になかった。アンネが求めた自由の象徴として生まれた、赤毛で先進的な「キティ」は、きっとアンネ自身の理想の姿。そのアンネの分身が、77年を経て日記から立ち上がり、現代のアムステルダムの街を彷徨うという一見ファンタジックな設定は、オシャレなアニメーションの作画も相まって、対象年齢を限定せず、多くの垣根を取り払うのに成功!キティという語り部を得て、一気に「自分たちの物語だ」と思える親和性も生まれた。何よりも、戦争やホロコースト、移民、人種差別の悲劇を描きながらも、アンネの思い出を中心に、残虐表現を控えた今作は、アンネたちの苦しくも穏やかな日常が、身近な存在として素直にすうっと染み込んできて、今まさに行われているウクライナ侵攻で、子どもたちの未来が、夢がまたも踏みにじられている現実を思って涙が出た。

のちの出版を念頭に、「戦争と差別のない世界」への願いを込めて、2年に及ぶ隠れ家生活を克明に記録し続けた少女アンネは、自分の死後から77年経った〈いま〉をどう見るだろうか?世界中で「SDGs(持続可能な開発目標)」が叫ばれながらも、それを逆行するように戦争が起き、ヘイトに満ちた「不寛容」がますます広がる〈いま〉。この映画は、まさにその「変わらない世の中」「歴史に学ばない世界」に斬り込み、声なき声を発信する、誰もが見るべき作品だ。過去から舞い戻り、21世紀で息を吹き返すアンネの幻影に、現代に通じてゆく負の歴史を痛感した。

※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。
© ANNE FRANK FONDS BASEL, SWITZERLAND

映画『アンネ・フランクと旅する日記』公開

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