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2020
06 / 19 (金)

2020
07 / 19 (日)

映画『今宵、212号室で』公開 【現在は終了しています】

202006/19(金)~ 202007/19(日)

映画『今宵、212号室で』公開 【現在は終了しています】

むちゃくちゃシュールで変だけど、ロマンティック?2020年で一番愛しい「愛の迷宮」の夜!

結婚生活20年。順風満帆に見えるマリアとリシャールの夫婦だが、実のところ「貞淑な妻」とは程遠いマリアは不貞しまくり!「自由、平等、友愛」を掲げるフランスではさもありなん…と思いきや、対する夫は20年間妻一筋で、妻の裏切りを知り大ショック!そんな夫を尻目にマリアは「冷却期間」と称して家出し、自宅の窓が見える向かいのホテルの212号室から、こっそり家の様子を見つめる…が、ふと振り返ると、そこには結婚当時の若々しいままの魅力的な夫の姿が!幻影か?妄想か?戸惑いながらも肌に触れ、軽口を叩きながらベッドインするふたり。「ナンデヤネーーーン!」とここで一瞬突っ込んだが、まだまだ序の口。これを皮切りに出てくる出てくる過去の亡霊。夫の元恋人や自分の浮気相手が実体となってどんどん乗り込んでくる212号室はてんやわんや。予想不能のとんでもない一夜へと発展していく(笑)。

「老いさらばえる自分」「愛されなくなる自分」が怖いのは、きっと世界人類の共通項。平凡であることに不安を感じる人々の情念が見せる心象風景が、リアルに具現化されるとこうなるのか!!!と、そのシュールさにおののきつつ、こんなに人間的で、わがままで、可愛くて、寂しくて、ロマンとエロスに溢れた作品は、唯一無二だと思う。もう、とてつもなく愛しい作品。主演のキアラ・マストロヤンニ(マルチェロ・マストロヤンニと、カトリーヌ・ドヌーヴの娘)の全てをさらけ出す大胆でコケティッシュな悪妻役が、カンヌの「ある視点」で最優秀演技賞を受賞したのは納得。そしてさらにすごいのが、夫・リシャール役は実生活でも夫婦だった(過去形)バンジャマン・ビオレという、元夫婦コンビをキャスティングする大胆さ。この映画の愛の魔法で復縁…てことはなさそうだけど、なんともしっくり来るカップルの顛末にハラハラ。ラストの密やかで複雑なマリアの笑顔が胸に刺さる!

ちなみに、タイトルのルームナンバーは、フランスの民法212条から。「夫婦は相互に尊重し合い、貞節であり、助け合い、扶助し合わなければならない」とする条項で、今作を見た後に改めて、この夫婦に足りなかったお互いの努力と、自分自身の日々の生活も振り返る、学びの多い作品。いや、めっちゃ「変な映画」なんだけどね。大好き!

©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema
※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。

映画『今宵、212号室で』公開

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