07 / 12 (金)
08 / 12 (月)
映画『大いなる不在』公開 【現在は終了しています】
映画『大いなる不在』公開 【現在は終了しています】
- エンタメ
身勝手に家庭を捨てた「父」の魂の渇望を辿る息子。親子の心の旅を通して、愛のエゴイズムと、役者のサガを描く傑作!
エゴイズムに満ちた愛の道を選び、それすらも忘却してしまった父と、そのDNAを俳優業に捧げて消化しようとする息子との、一見冷静で、しかしあまりにも情熱的な感情のやりとり。それを暴き続ける演出と、見事に応えた俳優陣の熱量に震えた。名優揃いのキャスティングの中でも藤竜也の引き出しの多さと底知れぬ人間沼には驚嘆!森山未來ならではの舞台演劇的なアプローチと現実の落としどころの見事さ、原日出子の優しさと寂しさと怒りがない混ぜになった渦のような芝居も見事だった。長編2作目にして圧倒的な存在感を見せつける近浦啓監督に感服。絶対に見るべき傑作!
30年前に別れた父との再会は、警察からの突然の一報で。東京から遠路はるばる九州へ駆けつけた俳優の卓は、介護老人ホームの面会室で、空想と現実を彷徨う父との噛み合わない会話に、しだいに面白さを見出す。予定滞在期間を延長し、見え隠れする父の本質を引き出そうと、問い、耳を傾け、また問う。それはまるで即興芝居を演じているような時間。理屈っぽくて自分勝手で、家族に愛情を示さなかった、過去の符号的な「父」が、30年の不在を飛び越して、突然人間らしく浮かび上がる。空白を補うように、手元に残された手記が、父の真の姿を少しづつ紐解く。「好きだ。あなたがどうしようもなく好きだ」。役者として、この役を、父の書いたこの台詞をどう表現するのか?どう解釈するのか?そんな探究に熱中する息子との、分かち難い縁(えにし)を、シニカルに、サスペンスフルに描くロードムービー。
©2023 CREATPS
※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。