03 / 10 (金)
03 / 17 (金)
松竹ブロードウェイシネマ『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』公開 【現在は終了しています】
松竹ブロードウェイシネマ『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』公開 【現在は終了しています】
- エンタメ
一晩の濃密さに息を呑む‥。死の4ヶ月前、客の眼前で見せた壮絶なショウを、ブロードウェイのスターが怪演!
人種差別を告発する楽曲「奇妙な果実」を歌い続けてFBIに追われたビリー・ホリデイの姿は、映画『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』でセンセーショナルに活写され、2021年のゴールデングローブ賞でアンドラ・デイが主演女優賞を受賞した(アカデミー賞はノミネートにとどまった)のは記憶に新しい。今作は、ブロードウェイの舞台作品。たった一晩のワンシチュエーション劇で、バックバンドとピアノ弾きが居る以外は、ほぼ一人芝居の構成。ビリーを演じるのはトニー賞常連のオードラ・マクドナルド。その技量に気圧されながら、映像に映り込み、絡まれまくる観客たちは仕込みなしの一般客。なんとノーカットの一発撮影だと聞いた。舞台はナマモノ!!まさにそんな緊迫を切り取った、恐ろしいほど張り詰めた一作。しんどいけど、また観たい。あの空間に身を委ねたい、そんな傑作!
愛に飢え、混沌と破綻の中で、もがくように人種差別と闘ってきたビリー・ホリデイが、酒と麻薬に溺れ、とうとう「死」が間近に迫ってきたある晩のショウ。スターの面影はどこへやら、昔馴染みの地元の小さなライブハウスに帰ってきたビリーは、グラス片手にクダをまきながら、客席に数々の思い出を語りかける。相棒のピアノ弾きと掛け合いながら、時に歌い、時に話し、客からタバコをせしめ、バーカウンターに入ってウイスキーを注ぎ、笑い、泣き、楽屋へ引っ込む。ただそれだけの90分に、言葉にする以上の彼女の辛い人生が滲み出る。なんという濃密さ。見終えた後、体が痺れるような余韻にしばらく呆然とした。
全国で、順次1週間限定公開。劇場情報は公式ホームページで。
©Evgenia Eliseeva