09 / 30 (金)
10 / 30 (日)
映画『マイ・ブロークン・マリコ』公開 【現在は終了しています】
映画『マイ・ブロークン・マリコ』公開 【現在は終了しています】
- エンタメ
親友の遺骨を強奪して逃亡!人生にくたびれた崖っぷち女の大暴走をタナダ節で魅せる、破壊力抜群の傑作!
死は、時に人の衝動を強烈に刺激するカンフル剤になる。猛烈な落ち込みで後追い自殺…なんて負の衝動もあれば、血が逆流したように奮い立たされ、死に物狂いで頑張れることも。社会人数年目で、唯一無二の親友が自殺したとなれば、その絶望と衝撃は計り知れない。そんな中、遺されたシィちゃんは、特攻隊のごとく刺し違える覚悟で、死んだマリコの実家へと突撃する。実父からの暴力、性被害に晒されて育ったマリコを今こそ救うべく立ち上がったシィちゃんと遺骨のふたり旅。絶望を抱えた「まりがおか岬」への旅は、寂しがりで、怖がりで、めんどくさくて、でも全部ひっくるめて愛おしいマリコとの思い出とともに、傷だらけになりながら進んでゆく。先に逝かれた無力感。自殺を止められなかった後悔。「アンタの周りの奴らが、こぞってアンタに自分の弱さを押し付けたんだよ」シィちゃんがマリコに放ったセリフに、自分はどうだろう?とゾッとしながら振り返った。
爆発力を遺憾なく発揮し、誰にも媚びない永野芽郁と、誰にも逆らわず、凄まじい透明感でただ無邪気に笑ってみせる奈緒。プライベートでも親友だという対照的なふたりの演技が、本当にピッタリと対になっていて、その友情に引き込まれるとともに、眩しく思った。旅の途中で出会う男は窪田正孝。『ふがいない僕は空を見た』をはじめ、タナダユキ監督が信頼を寄せるそのえも言われぬ佇まいも見事。「もう居ない人に会うには、自分が生きてるしかない」そんな台詞を反芻しながら、何日も余韻に浸った。
小学校からずーっといっしょだったシィちゃんとマリコ。おばあちゃんになっても変わらない友情だと信じていたのに、なんの前触れもないまま、マリコはマンションから飛び降り自殺。掴みどころがなくて、危なっかしくて、でも何故だかキラキラしていたマリコを、魂の片割れのように思っていたシィちゃんは、死ぬ気で奪還したマリコの遺骨とともに「彼女がしたかったはず」の夢を叶えるために、ボロボロのドクターマーチンを履いて、最初で最後の旅に出る…。
©︎2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会
※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。