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√K Contemporary 三上晴子没後10年追悼展「MIKAMI MEME 2025|三上晴子と創造のミーム
√K Contemporary 三上晴子没後10年追悼展「MIKAMI MEME 2025|三上晴子と創造のミーム

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メディアアートの先駆者の一人として知られ、その発展に大きく寄与したアーティスト、三上晴子
アーティストの三上晴子が2015年に急逝して、今年で10年を迎えます。三上は、1980年代半ばに鉄のジャンクによる作品で一躍脚光を浴びたのち、脳とコンピュータ、身体と免疫などへとテーマを展開、90年代前半のニューヨーク滞在を経てインタラクティブアートへと表現を移行しました。その後20年間、国内外のメディアアート・シーンで活躍するとともに、多摩美術大学で多くの学生を育てました。三上の作品そして人となりは、現在も人々の記憶に鮮明にとどまり、思考を触発し続けています。三上が追求し続けた問題系は、ここ10年で加速化したデータ監視や生成AI技術、近年のパンデミック禍や継続する戦争の時代において、かつてなく切実になっており、その先見性をまさに確認する時機といえます。
しかし三上の活動は長年、知る人ぞ知るものにとどまっていました。80-90年代のインスタレーションは再現不可能であり、多くの作品を本人が廃棄したこと、活動の前半期が主にアンダーグランド、後半期がメディアアート・シーンであったことがその一因といえます。そのような中、現代美術での注目が、近年東京都現代美術館に90年代の作品が収蔵されて以降、高まっています。
「MIKAMI MEME|三上晴子をめぐる創造的ミーム」展は、三上と出会い対話をするなかで、彼女からミーム(文化的遺伝子)を受け継ぎながら、独自の世界を生み出したアーティストたちによる作品を紹介するものです。80年代後半に三上と共作を発表した飴屋法水、00年代前半に多摩美術大学情報デザイン学科で三上の助手を務めた山川冬樹、同学科のスタジオ5に所属した平川紀道、三原聡一郎、毛利悠子、やんツー。本展の作品そして彼女彼らの内部には、意識・無意識的に関わらずMIKAMI MEMEが流れているといえるでしょう。
MIKAMI MEMEとは、たとえば不可視のものも含めた情報のフローから世界を捉える視点、情報が転送されるプロセスで起きるずれやノイズを創造的なものと見なすこと、作者がすべてを制御するのではなく偶然性に開くこと、観客や体験者の知覚や意思を超えた身体的反応を取り込むこと…などといえるでしょう。MIKAMI MEMEにおいては、作品を超えて、私たちが生きる世界との関係が、終わらない対話や循環のもとに浮上することになります。
MIKAMI MEMEとは、彼女が50年余りの生涯を通じて出会った多くの人々や出来事、環境的要素によって醸成された情報ノード(結節点)であり、情報体としての三上晴子といえます。そしてMIKAMI MEME自体が、本展のアーティストや多くの人々とのインタラクションの賜物であるのです。本展が、「MIKAMI MEME」から独自のミームへと展開したアーティストたちの作品を通して、訪れた人々それぞれが自身のミームを育んでいく契機となることを願っています。
なお、11月3日(月・祝)には飴屋法水が80年代に三上晴子と制作した《バリカーデ》のパフォーマンスを開催予定です。その他イベント詳細につきましては、追って√K ContemporaryのwebサイトおよびSNS各種に掲載されます。
【参加作家】飴屋法水、平川紀道、三原聡一郎、毛利悠子、山川冬樹 from グランギニョル未来、やんツー
【開催概要】
会期:2025年10月18日(土)〜11月22日(土)
開廊時間:13:00~19:00
休廊:日、月 ※11月3日(月・祝)は開廊 *10月17日(金)17:00よりレセプションを開催
入場料:無料
