01 / 13 (金)
02 / 13 (月)
映画『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』公開 【現在は終了しています】
映画『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』公開 【現在は終了しています】
- エンタメ
#MeToo運動の発端となったハリウッドのセクハラ事件。告発した女性たちと記者の覚悟に迫る傑作。
権力者によるセクハラ・パワハラ問題や、それに伴うSNSでの告発は、最近の日本でも枚挙にいとまがない。そうした#MeTooムーブメントの発端ともなった、映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの長年にわたる性加害事件。ハリウッドを牛耳る絶対権力者のこの告発を、記者生命を賭けて追った2人の女性記者と、彼女たちの熱意に動かされ、勇気を持って証言を行った被害女性たちの覚悟。「あなたの経験は変えられない。でも他の人を救うことができる」、「娘たちには虐待を普通のことと考えて欲しくない」自分ではない誰かのために絞り出した言葉は、同じ女として、妻として、母として、強い共感と感銘を受けた。そして、記者の並々ならぬ強い信念や努力の一方で、一歩前へ進み出た被害女性たちの勇気なしにはなし得なかった偉業が、きちんと「彼女たち」を主役として描かれていたのも良かった。性加害シーンの再現もナシ!被害者たちの語りで、表情で、その下劣な手口をありありと描ききった筆致、心の動きをひたすら追うカメラも素晴らしい。必見!
『パルプ・フィクション』『イングリッシュ・ペイシェント』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『恋におちたシェイクスピア』など、数々の製作・配給作品をメガヒットに導いたミラマックス社の創始者のひとり、ハーヴェイ・ワインスタイン。その「力」に無理やり組み伏せられ、体も心も傷つけられ、搾取されて世界から追放された女性たち。「示談金」という名の口止め料と共に「秘密保持」の言質をとられ、一生声を失い、彼の影に怯えて暮らす不条理。その被害者が、結果的に未来の被害者を生むことを容易にしてしまっている悪循環が、ニューヨーク・タイムズ記者の取材によって紐解かれる。金さえあればどんな悪行もまかり通り、それがまた金を生む権力の闇、それを後押しする行政の悪にも切り込む。未来へ目を向けて私たちはどう在るべきなのか?そんなことを考えながら、胸が熱くなった。
本作で「ゴールデングローブ賞」助演女優賞のノミネートを受けていたキャリー・マリガンが受賞を逃したのは残念だったが、まもなく1/24にノミネートが発表される「アカデミー賞」では、ハーヴェイ・ワインスタインのこれまでの功績が、悪行として塗り替えられる瞬間を見たいなぁと、密かに思っている。
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