01 / 26 (金)
02 / 26 (月)
映画『哀れなるものたち』公開 【現在は終了しています】
映画『哀れなるものたち』公開 【現在は終了しています】
- エンタメ
初めて尽くしの奇妙な映画体験を貴方に。エマ・ストーンの才能を余すところなく魅せつけた大傑作!禁忌の先で学んだ答えとは…?
主演のみにとどまらず、プロデューサーとしても名を連ねたエマ・ストーンがとにかくスゴイ!芝居に全身全霊を捧げ、心まで丸裸にしたような無垢な少女の姿は、神のような神々しさだった。
冒頭は謎に溢れている。フランケンシュタインを思わせる風貌の男の元、豪華絢爛な屋敷の中で、天真爛漫に暮らす美しいヒロイン・ベラ。屋敷の庭には、キメラのようなヘンテコな動物たち。彼女の日常は、寝て・食べて・遊んでのくり返し。飽きずに何かを反復し続ける彼女の探究心は留まることを知らず、時には「自分の性器を触ると幸せな気持ちになれる」ことを発見し、所構わずオナニーをしてみたりと、性への興味も隠さない。最初は「白痴」を思わせた彼女が、実は赤ん坊の脳を移植された実験体だと出自が明らかになると、畳み掛けるように物語は転がり、プレイボーイとセックス旅行に繰り出したり、インテリジェンスに価値観を塗り替えられたり、無一文で娼婦に転落したりと、驚天動地な運命を生き抜き、絶え間なく進化を続ける。常識にとらわれない新鮮で刺激的な振り切れた世界。そのビビッドな視覚体験は、まさに赤ん坊が「世界」に触れ、その全てに驚き、悦び、学習する過程の追体験だ。成熟した身体と、未熟な脳を併せ持つ彼女が、何を見て、何を感じ、何を好み、何を選ぶのか?世にも奇妙な子育ちを見守るロードムービー。この、視覚優位な傑作に、原作小説があるというのも驚き!久々に、原作を紐解きたくなる映画でもあった。
監督は『ロブスター』『聖なる鹿殺し』などで、強烈な才能を見せつけ続けるギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督。エマ・ストーンとは『女王陛下のお気に入り』以来、2度目のタッグとなる。第96回アカデミー賞において、作品賞を含む11部門にノミネートという快挙で爆走中の本作。見てはいけない秘密を覗き見るように、超広角のいびつなカメラの視点で、ベラの、そして哀れなる男たちの人生を傍観するエキセントリックな旅。ストーリーの奇抜さもさることながら、ヴィクトリアン調のゴシックな美術世界から、超未来的なSF空間まで、視覚的な創り込みには舌を巻く。劇場の大画面で浸りたいヤヴァイ一作を見逃さないで。
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※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。