05 / 26 (金)
06 / 26 (月)
映画『波紋』公開 【現在は終了しています】
映画『波紋』公開 【現在は終了しています】
- エンタメ
結婚生活の破綻から、宗教に走った妻。10年ぶりに帰ってきた夫への復讐心の先には…?
「生きづらさ」を描き続けてきた荻上直子監督の最新作は、新興宗教に救いを求めた主婦の物語。何と言っても主演の筒井真理子が最高にイイのだ。夫の失踪から10年あまり。聖水で心身を清め、小さな庭に枯山水を拵え、心穏やかな日々を粛々と過ごしてきた依子が、突然の夫の帰還に戦慄する。目線や眉の動き、口端の微笑みひとつで、主人公の絶望や焦り、喜びが手に取るようにわかる巧みな演技は必見だ。治療費の捻出を期待して戻った夫に煮湯を飲ませたい気持ちをグッと堪え、宗教の教えの通り「自己犠牲の精神」を全うしようとしながらも、抑えようのない情念に心をたぎらせる怖さ、そして滑稽さが、「我慢強い」と言われる日本人全般の姿を描いているようにも感じた。人の弱みにつけ込んで高額商品を薦める宗教家と信者たち、家族を捨てた夫、母に愛想を尽かせ遠方へ就職した息子、その婚約者、そして腹黒さを唯一打ち明けられるパート先の友人…。それぞれが抱える恐怖や怒り、強迫観念を共有しながら、自分の幸せのために今できることは何だろうと考えさせた。人々の胸の中に広がる波紋の、映像的な表現も面白く、共感し難いのにどこか腑に落ちる、ドキッとさせられる作品だ。
東日本大震災の少しあと、放射能に過剰反応する世間から逃げるように夫が消えた。救いを求めたのは信仰宗教。やがて息子も手元を離れ、一軒家に1人残された依子は、熱心に信仰を続けながら、家とパート先を往復の毎日。立派な祭壇以外は何もない空っぽな家で、心穏やかに過ごしていたが、十数年の空白を経て突然夫が帰宅。身勝手な夫に怒りを募らせながら苦悩するのだが…?