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2024
08 / 30 (金)

2024
09 / 30 (月)

映画『愛に乱暴』公開

202408/30(金)~ 202409/30(月)

映画『愛に乱暴』公開

彼女は狂ったのか?狂ったふりをしているのか?愛ゆえに止められない衝動と暴走を、不穏に描く怪作!

「愛」は、第一義には、優しく温かく包み込むイメージがあるが、それが噛み合わなくなると、エゴに満ちた暴力的ものになりがちだ。満たされていれば配ることができるが、足りない時は何とか手に入れようと狂おしく求めるのが人間のサガなのかもしれない。今作のヒロイン桃子には、圧倒的に愛が足りない。彼女は、まるで誰にも見えていない幽霊のように存在して、虚空の幸せを積み上げている。クールな女を装って、愛に対して不感症でいることが最大の防御。現実は「妻」になった瞬間が幸せの最高潮で、そこからは目減りしてゆく愛の恐怖に打ち震えている。そんな女性を、ファーストシーンからしっかりと観客に印象付ける江口のり子の演技はやはりスゴイ。狂気にひた走るクライマックス、終幕の瞬間まで、その静かな憎悪には背筋が凍った。何を考えているか全く読めないゲス夫に小泉孝太郎、過干渉な義母に風吹ジュンと、キャスティングのバランスもよく、岩代太郎の音楽がその不気味さを盛り立てる。ジットリとした晩夏に見て欲しい一作。

結婚8年目。夫と2人暮らし。隣は義母の家だが同居ではなく、週2回の講師のアルバイトは気分転換にちょうどいい。側から見れば「恵まれた結婚生活」を丁寧に送る桃子。気掛かりといえば、可愛がっていた猫のぴーちゃんが突然姿を消したこと、近隣のゴミ集積所で放火が相次いでいること、夫の帰宅が毎日遅く浮気が心配なこと。話しかけても上の空で、手塩にかけたオシャレな料理も、リフォームの計画にも無反応。子を持たぬ2人には共通の話題もなく、子作りのムードもなく、日々はただ繰り返される。モヤモヤを持て余して時折覗くのは、不倫を赤裸々告白する女のSNS。妊娠を機に略奪婚を計画する投稿を読んだある日、久々に向き合った夫からは聞きたくなかった一言を放たれ、耐え続けた桃子の心が、音を立てて崩れる。奇行が目立つようになった彼女に戦慄する周囲と、愛の原点を掘り下げようともがく桃子の、痛く哀しい愛を辿る衝撃作。

映画『愛に乱暴』公開

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