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2022
07 / 08 (金)

2022
08 / 08 (月)

映画『破戒』公開 【現在は終了しています】

202207/8(金)~ 202208/8(月)

映画『破戒』公開 【現在は終了しています】

いつの世にも、対象を替えながら蔓延り続ける「差別」。誰かを見下げて、自分を大きく見せようとする、弱く醜い人間の本性を暴く、力強いヒューマンドラマ!

身分、性別、人種、宗教、職業、病気、性的指向など、いつの時代も、どの国でも、対象を変えながら無くなる事のない「差別」。生まれながらに変えることができない「属性」が、人の人生を左右し、何の根拠もない優劣が決められてしまうなんて誰が考えてもおかしいと思うけれど、世界中のそこかしこに差別が蔓延る現実は、その根深さをひしひしと感じさせる。本作で描かれるのは、明治の時代。現代の世は「生まれだけで判断される」ほど露骨ではないにせよ、主人公が小学生たちに語った金言の数々は、120年のちの世の中も変えられなかったのだ。夏目漱石に「明治の小説としては後世に伝ふべき名篇也」と言わしめた詩人・島崎藤村の小説家転向第1作目の本原作は、明治37年(1904年)に出版され、1948年に木下惠介監督が映画化、続く1962年に市川崑監督によりリメイク、今回が60年ぶり3回目の映画化で、漱石の言葉通り後世に脈々と受け継がれている。主演を務める間宮祥太朗の、親友にも、想い人にも自分の出自を伝えられない悲しみを讃えた瞳がすごく印象的だった。志半ばで敗れた思想家・猪子蓮太郎(眞島秀和)の強さ、親友役の矢本悠馬の全てを包み込む懐深い芝居が胸に刺さった。けれど、「こんな映画もう古いよ」と、言えるような時代が来るのが、本当は必要なはず。ちなみに、全く毛色が違うが、同じ日に公開を迎えるミュージカル『ウィローズ』の原作が書かれたのが1908年。同時期の日本とイギリスで、表現の方向性や読者の層は違うものの、差別や格差社会をテーマにしたそれぞれの小説が書かれ、100年を超えた今もこうして現役であること。人間の「変わらなさ」を、両作品で見つめてみては?

小学校教員を務める瀬川丑松は、被差別部落出身であることを隠して職を得ている。児童にはすこぶる人気の高い瀬川だが、正義感の強さが災いして、校長や同僚からは煙たがられ、いつしか粗探しが始まり、出自を疑われ始める。「どんなに信用できる相手でも、身分は絶対に隠し通せ」と、亡き父から口酸っぱく言い含められていた瀬川は、同僚で親友の銀之助や、士族の生まれの志保へ、胸の内を明かせないまま、悶々と過ごす。そんな中、被差別部落の出身を公表して「人間は等しく平等である」と説く人権運動家・猪子を取り巻く事件で、瀬川は一世一代の決心を下すのだが…?「差別は人の心から簡単には消えない。もし部落差別がなくなっても、別の差別が生まれるかもしれない。」未来を予見していた猪子の言葉が重くのし掛かる。なお、今作は、部落解放運動団体「全国水平社」の創立100周年記念として制作された。

©全国水平社創立100周年記念映画製作委員会
※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。

映画『破戒』公開

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