11 / 19 (金)
12 / 19 (日)
映画『COME＆GO/カムアンドゴー』公開 【現在は終了しています】
映画『COME＆GO/カムアンドゴー』公開 【現在は終了しています】
- エンタメ
大阪の下町を舞台に、多言語入りみだれる人生の交差点。多様な生き方、尺度で、幸せを追い求める人々を見つめながら、自分に立ち返る群像劇。
大阪を拠点に、ワールドワイドに活動する中華系マレーシア人のリム・カーワイ監督。彼の作品は、いつも多言語が入り乱れ、国際色豊かだが、今作はその中でも群を抜いて多くの人種が関わり、時に絡み合い、浮き草のように漂う様々な人間模様が、可笑しく、痛々しく映し出される。「外国人」として日本で暮らしている彼ならではの切り口。その視点は、生まれながらに「日本人」として生きていると見過ごしてしまいがちな「生活」や「社会」が赤裸々に描かれていて、ちょっとしたカルチャーショックでもあった。世界には、生き方も、考え方も、立場も、本当に多様な人々がいて、いろんな尺度があり、「普通」なんていう言葉では絶対に言い表せない、それぞれの人生があるのだなぁ…と、当たり前のことなのに「思い知らされた」感じにハッとした。2時間半を超えるのに全く飽きない。もっと見ていたい。結末を知って再度見返したいと思うような人間模様。その交差点を眺めながら、幸せってなんだろうなと、自分の人生に立ち返る、「気づき」のドラマだった。
「グローバル化」がじわじわと忍び寄りつつも、高層ビルの足元で昔ながらの街並みを残す大阪・中崎町。古い民家で発見された老婆の孤独死事件は、不動産ブローカーによる他殺の線もあり警察が捜査中。隣家に住み「レンタルおじさん」で余生を楽しむ独居老人や、近所のカフェにも聞き込みの捜査官が現れ、街は少し浮ついた雰囲気に見える。カフェで働きながらレストラン開業を夢見るネパール人留学生は、実は日本語教師と不倫の仲。バイト掛け持ち＆セクハラに悩むミャンマー人留学生や、職場から逃げ出したベトナム人技能実習生など、この町で暮らす外国人の生活は厳しい。韓国から4人のセクシー美女を連れて出稼ぎに来たブローカーは、AVプロダクションを経営する日本人詐欺師と、日本人と結婚し子供の学費のために奔走する香港人実業家と組んで悪巧み中。AV女優オタクで大阪に通い詰める台湾人。ツアー旅行で大阪に訪れた中国人。商談のため出張で大阪へ来たマレーシア人ビジネスマン。ネットカフェ難民で職探し中に幾多のトラブルに巻き込まれる日本人女性。労働、詐欺、不倫、騙す側、騙される側…。監督の生活拠点である中崎町周辺を拠点に、大阪〈キタ〉と「人間」を深く掘り下げる天衣無縫のドラマが琴線に触れる傑作。
©️Cinema Dorifters
※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。
