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2020
12 / 08 (火)

2020
12 / 25 (金)

アトリエみつしま 『Pharmakon Chain Reaction (「ファルマコン––連鎖/反応」)』 【現在は終了しています】

202012/8(火)~ 202012/25(金)

アトリエみつしま 『Pharmakon Chain Reaction (「ファルマコン––連鎖/反応」)』 【現在は終了しています】

  • 美術館・博物館・アート展
変貌してしまった世界。恐怖を煽る言葉の増殖。不可視の〈敵〉を遮断すべく、犠牲にされる日常──アートはこの煉獄から脱する道を、私たちに示しうるだろうか?

世界は新型コロナウイルス感染による未曾有の状況が続いている。社会に蔓延する感染の不安や
恐怖を煽る言説により、ウイルスの存在はあたかも人類にとっての「敵」/「侵入者」/「テロ
リスト」として認識されている。私たちは、自己防衛のためウイルスを絶対的に遮断しようと他者
との接触を徹底的に避け、生活を犠牲にし、日常はすっかり変容した。ソーシャル・ディスタンス、
新たな枠組み。煽動された恐怖は連鎖反応を起こし、さらなる恐怖を生む。私たちは見えない敵を
前に文字通り震撼し、途方に暮れる。
だが、生命の注目すべき挙動の一つに、細胞の自死として知られるアポトーシスや一部の免疫反応
など、それが一見正反対に見える活動を同時に行って平衡を保つという営みがある。そもそも生命体
は膜によって自己と外界を区別すると同時に、膜に空いた多数の孔を通じて外界との物質や情報のやり
取りするおかげで生存している。ある個体とは、他の生命体と複雑な関係性(あるいは連鎖)の中に
存在するのであり、そのことは生存時も死後も変わらない。このような生命の本質を無視し、ウイル
スを撲滅すべき敵として完全な衛生を目指す思考は不可能であるばかりか危険ではないだろうか。

本展「ファルマコン:連鎖/反応」では、今日の私たちの身体が置かれた状況―「毒を一方的に排除
する志向」―を問題視する。薬と毒という両義的意味を持つ「ファルマコン」の概念は、物事がしばしば
持っている両面性(陰と陽、毒と薬、メリットとデメリット、効用と副作用、さまざまな言葉で言い表
される「ある側面」と「それと補完的である側面」に着目する。私たちが「毒」とみなす存在を根本的に
排除しようとするとき、私たちは世界が相反するものの均衡で成り立ち、それらが単に調和するだけでなく
時には複雑に絡み合って全体を形作っているという事実を忘れ、そのことにより自らを生きにくくしている。
ファルマコンの概念に基づく芸術的アプローチを通じて世界を再考することによって、生命をより直感的に
捉え直すことができるだろうか。 大久保美紀(キュレータ)

【開催概要】
会期:2020年12月8日(火)〜12月25日(水) 
休場日:月曜日
開場時間:火水木日 12:00〜19:00、金土 12:00〜20:00
会場:アトリエみつしま 603-8215 京都市北区紫野下門前町44 
 地下鉄烏丸線「北大路」駅から徒歩15分、市バス「大徳寺前」から徒歩5分

アトリエみつしま 『Pharmakon Chain Reaction (「ファルマコン––連鎖/反応」)』

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