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12 / 23 (土)
映画『首』公開 【現在は終了しています】
映画『首』公開 【現在は終了しています】
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北野武監督最新作は、構想30年のバイオレンス戦国絵巻。天下人たちの欲望渦巻く、壮大な時代コントに、震えろ!
女人禁制の世界ゆえに、画面は、男・男・男の大出血祭り!権力に近づくためならば、文字通り「身」も「心」も主君に捧げ、国に貢献する男たち。度肝を抜かれたのは、サディストでエキセントリックな男色家という、これまでに見たこともないようなプッツン信長を演じた加瀬亮。傍若無人で全能神をも思わせるカリスマ暴君に終始釘付け!気まぐれに刺すわ、強制性交も上等だわと、目を疑うような乱痴気な職場は、現代社会でパワハラ、セクハラに気を揉むサラリーマンにある意味グサリと刺さるシーンかもしれない。そんな信長の配下で密かに愛を育む西島秀俊と遠藤憲一による異色武将カップル。彼らの恋の駆け引きが「本能寺の変」の引き金になった…という新解釈を軸に、狂言回しを担う抜け忍で芸人の木村祐一、物見遊山で裏糸を引く岸辺一徳の利休、農民から大将軍を目指す中村獅童など、錚々たる俳優たちによる奇想天外なパズルが、小気味よく史実と重なる瞬間がなんとも快感で、北野武監督のさすがの発想力と構成に唸った。そして、監督自ら、俳優・ビートたけしとして演じるのは、ハイエナのように遠くから天下を伺う狡猾で冷徹な秀吉。大森南朋、浅野忠信の2人の参謀との、おそらく即興で撮られたであろうゆる〜いコントみたいな掛け合いシーンはニヤニヤが止まらないガス抜きポイント。タイトルが『首』だけに、のっけからスパスパ首が飛びすぎたのは若干引いたが(でもタイトルロールは超カッコよくて痺れまくり!)、西部劇を思わせるラストの着地がお見事で、なんとも壮大な、男色バイオレンス戦国絵巻コントへと帰結していた。血と情欲、ド王道からアングラにお笑いまで、エンタメをしゃぶり尽くす「北野武」節が圧巻!
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※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。