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2021
07 / 24 (土)

2021
08 / 24 (火)

映画『かば』公開 【現在は終了しています】

202107/24(土)~ 202108/24(火)

映画『かば』公開 【現在は終了しています】

「教育者」とは?「親」とは?家庭の不遇に溺れる子供を救おうと、体当たりで挑み続けた実在の中学教諭を描く感動作。熱さに震えろ!

タイトルとなっている蒲(かば)先生をはじめ「教師たちの奮闘」を描く一方で、喧嘩上等なヤンキーたち、一見問題がないようで実際には「虐待」を受けているような子供たちの家庭事情、卒業後にぶち当たる壁の存在に踏み込むなど、「格差社会映画」としての側面も大きい本作。それを、真面目一徹にならず、ライトな笑いも織り交ぜながら、緩急を繰り返してググッと掘り下げる脚本が見事で惹き込まれた。舞台は1985年。90年代に入ると「体罰問題」が広く議論され、学校における先生と生徒の関係がオブラートに包まれ始めた記憶があるので、このあたりが「めっちゃ怖いけど超イイ先生」の能力を遺憾なく発揮できた最後の時代かもしれない。「この子らと出会って、自分が教師やって事なんか三日で忘れたわ!」作中の台詞がとても印象に残った。持てる時間の全てを、全身全霊生徒を守るために使う先生たち。それが押し付けがましくなく、偽善でもなく、あまりにピュアな「教師魂」で、ジンと胸に沁みた。今の先生は、きっとやりたくてもここまでできない。でも、生徒側の問題の根本は、36年前も今も変わらないだろう。「地域で子どもを育てる」という言葉があるけれど、なんとも希薄な現代社会。今こそこの作品で「人が人と関わること」のあるべき姿をじっくりと考え、共有しなければ。そんな焦りとともに、少しでも多くの人に届けたいと思った。秀作!

同和地区に指定され、在日コリアン・沖縄人が混在し、貧困層を多く抱えた混沌の街・西成(大阪)。1985年当時、シンナー、暴力、警察沙汰も日常茶飯事という荒れた中学校で教鞭を振るった伝説の教諭・蒲益男。生徒のみならず、親や地域住民の隅々に心を砕き、「ひとりの人間」として体当たりで向き合った彼は、2010年に58歳という若さで逝去。葬儀には300人以上の弔問があり、その人柄が偲ばれたという。地域の誰もが一目を置き、信頼を寄せた蒲先生。そんな彼の記憶を語り継ぎたいと有志が映画化プロジェクトを立ち上げ、30分のパイロット版制作を経て、クラウドファンディングで出資者を公募。そして、7年越しの完成。その執念が作品の体温を上げている!名だたるビッグネームは出演していない。でも、皆上手い。関西俳優勢の底力を見せつけるキャスティングにも唸った。

30分のパイロット版制作当時のメイキングビデオとみられる『ドキュメンタリー オブ かば』を偶然発見し鑑賞。当時からクオリティの高さが伺えるので、ご興味あれば是非。

©映画「かば」製作委員会
※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。
また、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の影響で、上映予定の変更が行われている場合もあります。

映画『かば』公開

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