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2022
07 / 01 (金)

2022
08 / 01 (月)

映画『わたしは最悪。』公開 【現在は終了しています】

202207/1(金)~ 202208/1(月)

映画『わたしは最悪。』公開 【現在は終了しています】

無限の可能性を捨てきれず、何者にもなれないまま三十路を迎えた女の後悔。正しい人生の歩み方を考えさせられる一作。

「テルマ」で注目を浴びたデンマークのヨアキム・トリアー監督(ラース・フォン・トリアー監督の甥っ子なんだとか)が描く、女の人生の紆余曲折。監督名を知るまで、なんとなく、女性監督かなー?と思って観ていたのだが、自分の人生を持て余し、どこへ進むのか、自分の気持ちと現実をうまくコントロールできずに「自分探し」に終始するヒロインの不毛な日々に、えも言われぬ共感を覚えた。前作「テルマ」で描いたのは、強大すぎる自分の力を制御しきれない、敬虔で控えめな少女の恋による暴走だった。対する本作は、自由奔放で、自分を制御しきれない女性の十数年をただジッと見つめる。若い日々は自分の心の赴くままに人生を選択しているように見えたヒロインが、歳を追うごとに選択肢を失い、結果的にがんじがらめになり、言葉にできない不安と不満を募らせ不自由になっていく姿は、なんとも切ない。何度目かのリセットとなるラストシーンを「希望溢れる未来」と見るか、「繰り返される不幸の連鎖」と見るかは、見る人の心を映す鏡になるかもしれない。曖昧な余韻を何度も噛み締めながら、描かれていない彼女の今後の人生を何パターンも想像しながら帰路に着いた。静かに想像が掻き立てられる逸品。

医大に通い将来を嘱望されるユリヤは、ふと「外科よりも、人の心に触れる心理学をやりたい」と思い立ち、進路を変更。医学部の彼とも別れ、次の彼氏の影響で「やっぱりアートが向いてるかも?」とカメラマンへの道を模索。次は、アート展で知り合った年上の漫画家に乗り換え、おしゃれな同棲生活が始まると、気ままにコラムを書いてみたりと、興味の赴くままに生きているように見えて、未だ何者にもなれないまま「恋人の付属物」になった自分に苛立ちを隠せない。そんな自分を打破しようと、新たな出会いに胸をときめかせる彼女の人生は、真綿で首を絞めるように、さらに重く、苦しく、不自由になってゆき…?人生の新たな展望を、パートナーを変えることで見出してきた彼女の、真の人生を見つめる異色の恋愛ドラマ。

© 2021 OSLO PICTURES - MK PRODUCTIONS - FILM I VÄST - SNOWGLOBE - B-Reel – ARTE FRANCE CINEMA
※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。

映画『わたしは最悪。』公開

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