12 / 13 (金)
01 / 13 (月)
映画『小学校~それは小さな社会~ 』公開
映画『小学校~それは小さな社会~ 』公開
- エンタメ
世界で絶賛!日本の公立小学校の“いま”をありのままに…。子育て中の方はもちろん、入学を控えた年長さんにも見て欲しいドキュメンタリー。
撮影は、新1年生と、卒業を控える6年生の2軸を両輪に、一年間を一巡りする。6年かけてヒヨコからニワトリほどに外見も内面も変わる両者の成長の過程を見つめながら、何気ない日常、小さな事件、たゆまぬ努力、ジレンマ、協調と共感、そこにまつわる笑顔や涙を追う。子どもたちの成長の裏側で、家庭による細やかなバックアップや、教師たちの試行錯誤、苦悩も映し出される。私自身、仕事で幼児〜大学生までの教育に携わっているので、身に詰まされることばかり!「人育て」という明確な正解のない難問に、信念と愛を持って挑む先生たち。当然アプローチ方法は様々で、「親としては、この先生のスタイルが好みだなぁ」なんて思いながらも見た。ひたすらに慈愛の精神で優しく包み込み、優しいトーンで語り、諭す先生。彼女を、ある1年生が後ろからハグしに行くシーンはとても胸に残った。児童との距離感に悩みながらも敢えて厳しさを選ぶ熱血先生もいる。6年生の生徒が「〇〇先生が見てると倍キンチョーする…」と同級生に漏らすのもまた、グサリと来た。愛ある叱咤激励を子どもたちはどう捉えているのか?この時代の経験が、助言が、数年後にふと蘇ったとき、どのように思い出されるのか?答えはないものの、未来へ向けて考え続けたいテーマだ。
目下、今作は「日本人の日本人たる原流が良くわかる」と世界で話題沸騰らしく、満を持しての日本公開なのだが、自分たちで配膳し、教室を清掃し、靴の揃え方を互いに採点し、上級生が下級生の世話をしながら自主運営をする日本の小学生たちに、他国の人々は衝撃を受けているという。画面の中には、軍国主義の名残のような時代錯誤感が否めないルールもちょこちょこ登場し、私自身は疑問も抱いたが、海外からの評価を併せるならば、それが日本人の強さの礎であり、しかし諸刃の剣なのだろう。「これができない人は社会に出てから困るので、先生は今厳しく言っています」のお説教には「そんな世知辛い社会システムを変えたいもんだ」とも思った。私たち大人は、これから何を目指して、何を変え、何を変えてはならないのだろう?歯を食いしばって頑張っている子どもたちの健気な姿に、気づけば涙が溢れ、子どもたちのために、より良い社会システムを模索していかなければと気が引きしまる、問題提起を受け取った。
4月から小学生になる子どもがいるご家庭は「小学校ってこんなところだよ」と、一緒に予習を。そして、今小学生を子育て中の方は、お子さんと一緒に見て、学校のシステムについてあれこれ一緒に語って欲しい。きっと未来の解決法の糸口が見えるから。何はともあれ、愛しい作品。誰もに見て欲しい。
©Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour
※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。