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2022
04 / 16 (土)

2022
05 / 16 (月)

映画『メイド・イン・バングラデシュ』公開 【現在は終了しています】

202204/16(土)~ 202205/16(月)

映画『メイド・イン・バングラデシュ』公開 【現在は終了しています】

賃金未払い、突然の解雇。搾取され続ける職場で「労働組合」を作ろうと立ち上がった女性の孤立無援の闘いはいかに?

世界156か国中、ジェンダーギャップ指数ランキングで日本は先進国ワーストの120位だが、バングラデシュは65位。となれば、日本よりはるかに女性の権利は約束されていそうに思えるが、どうやら現実は違うようだ。中国に次ぐ世界2位の縫製品輸出国であるバングラデシュは、世界中のアパレルブランドの縫製を安価で担い、その労働力のほとんどは女性だが、その現状は悲惨。「女性はコントロールしやすい」と認識され、月収は最低賃金の7000円程度(!)。残業代も、深夜の手当ても付かないどころか、給与の未払いも当たり前という中、文句を言えば「解雇」をちらつかされ、工場火災で死亡事故が起きても補償すらない…。ちょっと信じられないが「それが当たり前」と受け入れてしまっている社会の現実が、この映画で赤裸々に映し出される。そんな中「労働組合」を作ろうと立ち上がるシムの、苦悩と努力の物語。会社との闘い、夫との闘い、なかなか理解を得られない仲間との闘い。孤立無援の中、踏ん張り続ける彼女にハラハラしながら、その強さに頭が下がった。

メガホンを取ったのは、女性の権利を守る人権NGOでの勤務経験もあるルバイヤット・ホセイン監督。彼女の作品は、男性優位のナショナリズムを批判し、公開後1週間で上映中止に追い込まれたデビュー作『Meherjaan』、家父長制がはびこる社会に疑念を向ける舞台女優を描いた『Under Construction』など、女性の視点から社会へ斬りこむものだ。

今作のヒロイン・シムのモデルとなったダリヤ・アクター・ドリさんは、2020年に「大阪アジアン映画祭」で来阪し、こう発言していた。「これは私の経験の95%。大臣や政治家たちによるもっと強い圧力があったけれど、そのまま描くと上映ができなくなる」。労働者を守る立場である国の組織(厚労省的なところ)が、企業側の味方に付いて妨害してくるだけでもびっくりだったのに、その映画を超える現実があることに愕然とした。けれど、これを「異国で起きたこと」と終わらせず、この忖度に満ちた日本の「120位」からの浮上も、自分事として考えなければならないと思わされた一作。老若男女問わず、ぜひ見てもらいたい。

© 2019 – LES FILMS DE L’APRES MIDI – KHONA TALKIES– BEOFILM – MIDAS FILMES
※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。

映画『メイド・イン・バングラデシュ』公開

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