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2022
06 / 24 (金)

2022
07 / 24 (日)

映画『ベイビー・ブローカー』公開 【現在は終了しています】

202206/24(金)~ 202207/24(日)

映画『ベイビー・ブローカー』公開 【現在は終了しています】

子どもにとっての「幸せ」とは何なのか?幸せな子ども時代を送れなかった大人たちが手を染める悲しい犯罪ががつなぐ絆。揺れる善悪を見つめる傑作。

近年、海外との仕事が続く是枝裕和監督の最新作は、ソン・ガンホをはじめ、韓国の名優たち直々の誘いで実現した企画。カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『万引き家族』と同一線上にあるような、社会の底辺に生きる他人同士が手繰り合う絆を描く。育児を放棄した若き母親と、違法な赤ちゃん売買を裏稼業とする男たちの物語は、犯罪と分かっていても次第に心を捉えられ、揺すぶられた。彼らを追跡し追い詰める刑事役には、2009年の是枝作品『空気人形』で主演を務めたペ・ドゥナ。「正義」を唱えつつも、個人的な事情や感情による思い入れで突き進む様は、ともすれば「悪役」にも見える難しい役どころ。彼らへの不快感を自覚し、自分の内を見つめながら下すラストまでの繊細な変化には、「産めない女」「産まざるを得なかった女」という不条理、「産むことができる性」ゆえの苦悩が見え隠れする。そして「欲しい」と「手放したい」の間を取り持つ特殊な稼業が「悪」と定義される一方で、法の下では幸せになれない人々の「最後の希望」となっている現実。誰が「悪い」のか、立場が変われば物の見方も変わる世の中で、善悪の線引きの難しさも感じさせられた。ただ一言「生まれてきてくれてありがとう」と言われてみたい。それを高望みと感じながら生きてきた人々の姿に、祈るように見た重い傑作!

底冷えする土砂降りの夜。若い女が赤ちゃんポスト(ベイビー・ボックス)の前に乳児を置いて立ち去る。それを目撃していた女が迅速にポストに押し込むと、中身を確認した職員が手際よく防犯カメラの映像を消去して何処かへ連れ去る…。公共な救済機関が、犯罪の温床になっている衝撃のオープニング。クリーニング店を営みながら借金に苦しむサンヒョンと、ポストを運営する保護施設職員のドンス。善人に見える二人には「ベイビー・ブローカー」という裏稼業があったのだ。しかし、翌日思い直した母親ソヨンが赤ん坊を引き取りに戻ったことで事態は複雑化する。警察への通報を前に「善意で里親探しをしようとした。俺たちはキューピッドだ」と釈明する二人に呆れながら、ソヨンは彼らを頼って自分の子供を買ってくれる里親探しを始めるのだが…?

今年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された本作は、主演のソン・ガンホが韓国人俳優初の男優賞を受賞。同時に、人間の内面を豊かに描いた作品に贈られるエキュメニカル審査員賞も受賞している。

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※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。

映画『ベイビー・ブローカー』公開

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