10 / 29 (水)
11 / 29 (土)
O JUN「花がみえたり、TVがみえたり、コップがみえたりしました」
O JUN「花がみえたり、TVがみえたり、コップがみえたりしました」
- 美術館・博物館・アート展
原寸大絵画と現在地
O JUN は今年の2⽉から4⽉にかけて、“原⼨⼤”の⾞を三枚のキャンバスを組んだ横⻑の画⾯に油彩で描きました。制作のために借りた川⼝の⼯場まで定期券を買って通い、荒めの⿇地キャンバスを前に刷⽑を⽤いて格闘しながら、冬から春へと移り変わる季節とともに、描き終えました。
《暗⿊ドライブ》と名付けられた本作は、⾞が好きだった画家の友⼈との思い出に由来します。この数年の間、O JUN は同じモチーフ、タイトルで三度制作をしてきました。今回は縮尺ではなく原⼨⼤で描くことで、絵画の既存の枠組みを超えながらも、なお絵として成⽴するかどうかを試み、これまでにない絵画作品に挑みました。⾞の周りを彩るカラフルな円もまた、近年O JUNが取り組んできたアプローチであり、現在のO JUNを象徴する作品と⾔えるでしょう。
本展ではこの⼤作を中⼼に、80年代や90年代の作品、今回シリーズを締め括るという《⼭の⼈⽣》(2010年―)の新作や同じく⻑年描き続けている《⽔⾦地⽕⽊》など、O JUNのこれまでと現在地を⾏き来するような作品群を展⽰します。様々な時代の作品を点在させ、40年以上にわたるO JUNの作家活動を浮かび上がらせます。また、来場者と⼀緒に撮影をする「不記念写真」と称するパフォーマンスも会期中随時予定されています。
展覧会タイトルは、1998年に発表した42点の紙作品とドローイングブックで構成された《花・TV・コップ》に付随する同名⼩説の⼀節から採られました。O JUN⾃⾝の思い出や記憶が反映されたというこの⼩説は、少年の⼭登りの⼀⽇を描きつつも、⼭道からも、道理からも⼤きく逸れた会話や出来事によって展開します。O JUNはこの⼩説について次のように明かしています。「限りある事象や⾵景の中に⼊っていくことで程よい距離が無化され、それを忘れて等⾝の⾃分や対象を⾒つける。少年が⼭の中に⼊って苦しさのあまりにいろいろ⾒てしまう」そして今は、当時と同じ地点ではなく、少しズレたところに戻ったといいます。
本展にあわせ、写真家の久家靖秀⽒によるO JUNの活動を記録した写真集『O-SAN』も刊⾏します。来年は古希を迎えるO JUNの前祝いとなる本展をぜひご覧ください。そして、⼀緒にお祝いしましょう。
【開催概要】
会期:2025年10月29日 (水)~11月29日 (土)
開廊時間:12:00~19:00 [アートウィーク東京開催中の11⽉5⽇(⽔)〜9 ⽇(⽇) は10:00~19:00]
休廊⽇:⽇・⽉・祝 [11⽉9⽇(⽇)はアートウィーク東京開催中のため開廊]
