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2019
08 / 16 (金)

2019
09 / 16 (月)

映画『命みじかし、恋せよ乙女』公開 【現在は終了しています】

201908/16(金)~ 201909/16(月)

映画『命みじかし、恋せよ乙女』公開 【現在は終了しています】

死に取り憑かれた男に、樹木希林の最期の声が沁みわたる。ドイツ人女性監督が紡ぎ続ける、日本の独特の美と死生観。

「樹木希林の遺作」としての話題が先行しているけれど、あくまで物語の軸はアルコール依存症のカール。この作品の前日譚となる『HANAMI』(2008年)では、主人公ルディーの息子として将来を嘱望されていたはずの彼が、空白の10年をどう生きたのか、多くは語られていないけれど、負け組へと転じアイデンティティの崩壊に揺れる彼の人生が再び色を取り戻すとき、樹木希林演じる老婆がそっと魂に触れるように抱きしめるシーンは、短いながらもストンと腑に落ちて、見る人の呪縛をも解き放ってくれる感覚。まさに奇跡的なキャスティング!ともすれば「日本びいきの外国人監督が撮ったスピリチュアルな映画」とイロモノ認定されそうな危うさの中、ラスト30分で見事に温かな命を吹き込んだ功績と、その人生の手本のような生き様に大拍手を送りたい。

ちなみに、必ずしも前作を見る必要はないけれど、今作で説明不足かな…と感じる両親の死の顛末やユウとの交流などは全て『HANAMI』で描かれているので機会があれば併せてどうぞ。

アルコール依存症により家庭を崩壊させ、失意の中にあるカールは、悪夢と幻影に襲われ、混乱の日々を送っている。そんなある夜、父の最期の日々に寄り添った日本人舞踏家のユウがはるばるミュンヘンまで訪ねてきて、奇妙な共同生活が始まる。父母の亡霊や自らの生き霊に苦しむ中、突然消えたユウを探しに日本まで訪れたカールが見たものは…?たった一日で鮮烈に色づき命を燃やす夏の風物詩“酔芙蓉”の花が象徴的に描かれ、作品を儚く美しく色づかせる。

※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。
©2019 OLGA FILM GMBH, ROLIZE GMBH & CO. KG

映画『命みじかし、恋せよ乙女』公開

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