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2022
02 / 11 (金)

2022
03 / 11 (金)

映画『ウエスト・サイド・ストーリー』公開 【現在は終了しています】

202202/11(金)~ 202203/11(金)

映画『ウエスト・サイド・ストーリー』公開 【現在は終了しています】

まさかスピルバーグがミュージカルの金字塔をリメイクする日が来るとは!驚愕のハイクオリティに打ちのめされろっ。

ウエスト・サイドを語るにあたっては、どうやっても自分自身の「青春」が関わってくるので、今回は冷静には語れない。大学でミュージカルを学んだ私の原点はまさにこの『West Side Story』(1961年版)。これがなければ、幸か不幸か俳優をやったり、映画に関わる人生にはならなかったので、思い入れは相当なのだ。そんな作品を、多ジャンルで業績を残す巨匠スピルバーグとは言え「何で今さらミュージカルなん?大丈夫??」と、むちゃくちゃ心配したのだが、それはすべて杞憂だった。

『ベイビー・ドライバー』のアンセル・エルゴートと、彗星の如く現れた新人レイチェル・ゼグラーは素晴らしく、レイチェルの高音の伸びったら、もうヤバイくらい美しい!そんな主演カップルを凌駕するほど印象的なのがアニータ役のアリアナ・デボーズ。圧巻のダンスと歌声に釘付けだった!そして、61年版でアニータを演じたリタ・モレノが、スピルバーグ版オリジナルのキャラクターで登場するのがニヤリで、61年版のドラックストアの白人店主「ドク」の未亡人で、プエルトリカンという役どころ。トニーとマリアの恋を、自分の過去を振り返るように見守る老婆の存在は、今作最大の改変であり、素晴らしいスパイスになっているので注目だ!

スタッフ陣には超超一流のアーティストがずらり!バーンスタインの傑作音楽たちに新たな息吹を吹き込む指揮は、パリ・オペラ座の音楽監督であり、過去にもオーケストラによる「マンボ(本作の名曲のひとつ)」で観客を狂喜させ、話題をさらったグスターボ・ドゥダメル。そして、ジェローム・ロビンズの革新的な振り付けを軽々と飛び越えたのは、驚異的な若さでNYシティーバレエを率いながら、多数のミュージカル作品をも手掛けるトニー賞振付家のジャスティン・ペック!特に、「Gee, Officer Krupke(クラプキ巡査どの)」や「Cool(クール)」の振り付けが素晴らしく、ロケーションや小道具づかいの巧みさと、画面からはみ出さんばかりの躍動感にワクワク&ヒヤヒヤしながら、完全ノックアウトされた。

そんな超絶技巧が光る中、一番ワクワクしたのは、オープニングにシャーク団が歌う「La Borinqueña(ラ・ボリンケーニャ)」。これまで聞いたことのない楽曲に血が騒ぎ、スペイン語の小気味良いテンポと力強さにドキドキ。「英語」と「スペイン語」で切り分ける「言葉の壁」にもガツン。さすがスピルバーグ!これからどうなるの?とウナギのぼりに駆け上がる期待!!そして…こういうのが後半にももっと欲しかったーー。鑑賞後、少々モヤっとしたのは「超アップデートされてるけど、後半そのまんますぎない?」という物足りなさ(いや、ホント凄かったから求めすぎなんだけど!)。これが初めてのウエスト・サイド体験ならば、確実に神と崇めただろう大傑作!ではあるものの、俯瞰のオープニングからソール・バスを思わせるエンドロールに至るまで、挙げればきりがないほど徹頭徹尾のオマージュに61年版の偉業を見せつけられる中、ワタシ同様ビデオが擦り切れるほど旧作を鑑賞した人は(結構いるよね!?)、過去の亡霊と上手に付き合いながら見る覚悟が必要かも。とはいえ、今後絶対何度も見るし(宣言)、稀に見る傑作!大画面推奨で必見ですぞ!

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※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。

映画『ウエスト・サイド・ストーリー』公開

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