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映画『ハミンンンンンング』公開 【現在は終了しています】
映画『ハミンンンンンング』公開 【現在は終了しています】
- エンタメ
劇団子供鉅人の人気舞台の映画化は、敢えて写実表現を抑えた異色の演出。演劇と映画の狭間にあるような空間で、主人公トーコの心象の闇に触れて。
日がな一日テレクラで男たちの話に耳を傾け続けるトーコは、彼氏と同棲中。一見幸せそうに見えても、心の中では言いしれぬ喪失感と闘っている。親からの無償の愛を経験しなかった自分を卑下し、世間を冷めた視線で見つめる彼女は、相手が真剣な時ほど、軽いハミングで受け流す。誰と付き合っても、心からは満たされず、更なる愛を求めて次から次へと男を渡り歩く姿は、日に日に自分を捨てた母と重なって、焦燥感を煽る。身近な幸せを幸せと感じられない不幸。親子とは、愛とは何なのか?誰もが少なからず抱くであろう、理想の自分とのギャップに苦しむ「闇」を、演劇的な空間表現で淡々と追う異色の群像劇。全てを持っているようで、空っぽなトーコの掴みどころのない魅力と、彼女に翻弄されて空回りする周囲の様子が、抜けないトゲのように刺さる作品。
2022年に解散を宣言した劇団子供鉅人の舞台『ハミンンンンンング』を『泥の子と狭い家の物語』の西岡眞博監督が映画化。原作者・益山貴司も自ら脚本に参加し、大胆な改稿も行って、舞台版とはまた違った読後感の残る一作に仕上げた。関西の演劇界を牽引する 若手俳優陣を多数起用し、およそ映画らしくないスタジオセットの中で、時にリアルに、時に演劇的に、手法をミックスさせながら進む演出が面白い。ラース・フォン・トリアー監督の『ドッグヴィル』を彷彿。
大阪・第七藝術劇場(11月4〜12日)を皮切りに、東京・高円寺シアターバッカス(11月10〜16日)でも公開。連日、上映後舞台挨拶あり。