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2021
05 / 14 (金)

2021
06 / 14 (月)

映画『ファーザー』公開 【現在は終了しています】

202105/14(金)~ 202106/14(月)

映画『ファーザー』公開 【現在は終了しています】

傑作!怪優アンソニー・ホプキンスが、2度目のアカデミー主演男優賞を最高齢で受賞!人生の終焉と混沌を脳に刻んで!

妄想と現実の境界が曖昧になり、過去と現在の記憶が入り混じって行き来する、まだらで混沌とした痴呆症の老父の脳世界。アルツハイマーに翻弄される家族の疲弊や絆を描く作品は数多くあれど、こんな風に当事者の脳内の景色を視覚化して共有する作品は多くない。いや、正直面食らった。同一人物を複数のキャストが担当し、顔認証機能は揺らぎまくり。え、この人誰?とドキドキ。ついさっき聞いたセリフが次のシーンでは真っ向から否定されたりと、繰り返される記憶の誤認。つじつまが合わず一向に整理ができないシーンの応酬はなかなかのストレス体験だ。そりゃあこんなに不安定な日々なら不機嫌にもなるのも納得!不安に次ぐ不安。これが痴呆症なのか。まるで他人の潜在意識に潜り込むSF映画『インセプション』(クリストファー・ノーラン監督)を見ているような混沌。衝撃だった。

作中で「自分の“葉”を1枚ずつ失っていくようだ」と絶望するアンソニー(役名も誕生日もアンソニー・ホプキンスと同じ)は、「もうどこに体を横たえていいかもわからない。ママに会いたい。」と泣きじゃくる。なんとも哀れで、愛おしいシーンに、哀れな彼を心の中でぎゅーっとハグした。自己を失ってしまった父を自宅に引き取り介護している長女アンの苦悩もまた辛い。年代的に、こっちの苦悩の方が現実味があるのも確か。彼女が自分の人生を取り戻そうとするチャレンジをちょっと複雑な思いで見守る。偽善だけでは乗り越えられない、現代社会の大きなテーマに斬り込んだ傑作!!

ちなみに、今作にまつわるインタビューで、アンソニー(・ホプキンス)は、「自分の父を演じただけだから簡単だったよ」とサラリ。「暗記マニア」だから脳は全く衰えていないし、これからも老戦士として現役を貫く!と宣言。今作で、アカデミー賞主演男優賞を史上最高齢で受賞(83歳)したが、そのセルフレコードを更新する日も近いかもしれない。

© NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020
※公開期間は目安です。全劇場での上映期間を保証するものではありません。
また、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の影響で、上映予定の変更が行われている場合もあります。

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